デザイナーになった頃
デザイナー1年目に入った会社は、新大久保にある小さな制作会社でした。週刊誌・月刊誌をメインに扱うエディトリアルデザインがメイン。当時使っていたソフトは「クオーク」というもの。今で言うとIn Designが近いです。写真はデジタルではなく、ポジ。一枚一枚スキャンしてレイアウトしてました(入稿用画像は、印刷会社でドラムスキャンをして使用する)。テキストデータのやり取りは、フロッピーディスクを使っていた時代。今では考えられないですね 笑
デザインの専門学校卒業していたとはいえ、何もできない新人だったので、最初はひたすらポジデータをスキャンする係。その後、ページを任せてもらいますが、1日かけてもできませんでした。居残り、徹夜することも。できない自分が悔しくて、ほぼ毎日、新大久保の夜道を泣きながら帰っていました。
その後、経営不振のため1年で転職。
次の会社では、WEBサイトの運営と、デジタルコンテンツ制作を担当します。仕事内容は万単位で届くの画像を100枚単位にセレクト。そして、ひたすら画像の補正・修正するお仕事。あと、DVDのジャケットや自社サイトのコンテンツバナーを作っていました。
一通り仕事を覚えてしまえば、永遠のルーチンワーク。これが約4年続きます。
画像セレクトも早くできるようになり、画像補正も得意に。ちょっとしたHTMLも分かるようになりました。
でも、自分が思い描いていたようなデザイナーとかけ離れていて……と言っても、どんなデザイナーを自分が目指しているのかも、まだ分からなかったのですが、「今のままは、なんか違う」と感じるようになります。
「このままここに居ても、自分自身のことをデザイナーだと言えない……。」
デザインに対してもイマイチ自信が持てませんでした。
「デザインを本気で学ぶ」火がついたきっかけ
5年くらい経った後、スキルUPのため、個人制作事務所へ転職。
事前の確認で、「今までのキャリアがあるし、IllustratorとPhotoshopは使えるよね?」と聞かれ、私は「使えます!」と答えます。「5年間、毎日普通に使ってきたので、もちろんです!」と。
そして、胸ワクワクさせながら新しい環境で、いざ仕事をしてみると、
全く使い物にならなかった。
全くです!
今までできると思っていたスキルが全然足りませんでした。
先方もビックリですが、私もビックリ!
結局、見習いアシスタントな感じで、先輩の作業を後ろで見て覚えるところからスタートします。
この個人事務所では、広告・SP系を扱っている事務所で、制作納期がものすごくタイト。どのくらいかというと、朝イチで届くラフ案を、その日の夜中、または翌日午前中に提出。提出まで、1日あるかないかでした。
朝確認し、夕方には大体出来上がっていて、夜はずっと営業さんと修正のラリー。修正のファイル数は50〜60あったと思います。営業さんからOKが出た後、クライアントへ提出。
できることはあまりなかったけど、ちょっとした作業を手伝ってはいたので、先輩たちと同じタイム間で私もいます。終電帰りは普通、もっと遅くなる日は、一旦帰れるように自転車で行ってました。午前3時に寝て、朝10時に出社。そんな毎日なので、昼ご飯食べたあとは、眠いったらない!後ろで見て学ぶはずのアシスタントが、ぐわぁんぐわぁん船漕ぎながら居眠り……っていうことが多々。
小さな事務所だったし、私自身の売上を作らないといけません。なので、後半は、パソコンから離れて、別の仕事を任されるようになります。どんなことをしてたかというと、近所のスーパーを周り、段ボールを集めてくる。お風呂場で一人ゴシゴシと大量の革靴を磨く。でした。
自分のデザインに自信を持つ以前に、メンタルも自尊心も、ズタボロ……。仕事ができないことで、怒られもしましたが……1番キツかったのは、残念がられたこと。
期待を裏切ってしまったような……とにかく惨めな気持ちで溢れてました。
もー悔しくて、悔しくて。そこから私は、独学で基礎から徹底的に叩き込みます。
まず「初めてのイラストレーター」みたいな最初に読む本を買って、約3か月、家の中でもトイレに入るときもずっと、移動中、職場でも持ち歩き繰り返し読みました。あと、ショートカットを全て単語帳に書き出し、移動中で覚えたりも。
体とメンタルはボロボロになっていき、Illustratorスキルはメキメキ上達した、1年経った頃、知人から「広告代理店のWEBデザイナーにきてくれないか?」とオファーをいただきます。一度断りましたが、その事務所に居続けたら本当に病みそうだったので、オファーを受けて、次の会社へ転職しました。
今とこれから
この個人事務所で、悔しさをバネに学んだことは、今振り返っても一番「糧」になっています。その後も広告代理店のWEBデザイナーとして働き、大きな案件にたくさん触れることができましたが、やっぱりブラックでボロボロに。ゆっくり働けるところへまた転職しますが、同じ繰り返し。毎回何かをすり減らし、35歳の時、フリーランスを決意します。
フリーランスになった後も、しばらくは自分のデザインに自信が持てませんでした。でも、数をこなしながら、お客様と直接やりとりをするようになって、「ありがとう」の言葉を直接いただけることで自信がだんだん持てるようになります。そして、お客様の意図が汲み取りやすくなったら、修正の少ないデザインが作れるようになりました。
デザイナーになって23年。そのほとんどを否定してきたけど、今は今のお客様ととても楽しくお仕事をしています。
時代も大きいですが、私の場合、デザイン専門学校を卒業後、デザインの現場で使えるスキルはゼロでした。なので、私がデザイナーになって、最初に学びたかったこと、教えてもらいたかったこと、現場レベルで必要なこと。覚えた方が良いこと、を、同じようにデザイナーを目指す方へ届けたい!と思っています。
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